別名を「テンジクボダイジュ」とも言い、高さ20メートルにもなる落葉高木です。葉の先端が、長く尾状に尖ります。 その昔、お釈迦様が、この木の下で悟りを開かれたことで有名です。インドやセイロンの仏教徒やバラモン教徒は、この木を神聖視して、大樹の傍らに寺を建てたり、また仏寺の境内に植えているようです。 シンガポールやカルカッタ、サイゴンなどでは並木にしているそうです。 葉は、象の好物であり、蚕の飼料にも。樹皮は、製紙、染料、薬用に使われています。 菩提樹なら知ってるよ、とおっしゃる方、もしかして日本の寺院などに植えられているものをご覧になられたかもしれません。でも、残念ながら、日本で見られる菩提樹の殆どは、別のものです。 日本では、葉の形が似ている中国原産のシナノキ科の「Tilia miqueliana」が「ボダイジュ」として植えられているのです。熱帯の植物が、日本では育ちにくいのが理由ですが、これは、昔、中国の宋で修行した建仁寺の僧栄西が、 持ち帰って日本中に広めたという話があります。今のように、誰もが海外へ出かけ、本物を知ることが出来る時代が来るなんて、思いもかけなかった頃のお話ですから、そのまま菩提樹として定着してしまったのでしょう。 ちなみに、「泉に沿いて、茂る菩提樹♪」という歌に出てくるリンデンバウムは、ヨーロッパ産の「ナツボダイジュ」Tilia platyphyllosであり、インドでボダイジュの数珠としてお土産用に販売されているものは、インドボダイジュでもシナノキでも なく、ホルトノキ科のインドジュズノキ、ジュズボダイジュという植物の種子で作られています。(資料は、西岡直樹著インド植物ものがたりより) 話が長くなりましたが、インドボダイジュは、クワ科イチジク属、つまり、私たちが食べるイチジクの仲間です。1センチほどの小さなイチジク(無花果)が葉腋につくのです。メス木だけで繁殖させている私たちの食べるイチジクと違い、 熱帯には、対応するイチジクコバチがいるので種子は出来ますが、数珠を作るほどの大きなものは出来ません。 残念ながら、中央ヤシ室では、もう身動きが出来ないほど、周りの木が生い茂っているので、イチジクを確認できていません。 この近くには、「ベンガルボダイジュ」も植えられています。 時々、写真のような葉が落ちているのを見ます。 中央ヤシ室内では、いろんなつる植物に覆われて樹皮をうかがい知ることが出来ませんでしたが、後日、豊橋の植物園で、つるんとした樹皮を見ることが出来ました。参考のために。 |