森林性の着生サボテンです。 サボテンの仲間にしては、トゲがありませんが、詳しい人が見れば、サボテンの特徴であるトゲの下にある刺座(ミニ版短枝)があるのです。 葉っぱの途中から花?茎は何処に?といった感じで咲きます。 昆布みたいな葉っぱ? いえいえ、これが茎なのです。葉状茎といいます。 この葉状茎の途中から、小さな小さな芽が出てきます。あまり小さいときは、これが花芽なのか、 また葉状茎に成長する葉芽なのか私にはまだ判断できません。 花は夏、数日かけて長く伸びてきたツボミが、ゆっくりと上向きに変化し、そこで膨らみ始めるといよいよ開花です。 でも、開花は、決まって夜。8時ごろから少しずつ少しずつ広がり始め、10時ごろには、上のような状態になります。 それから2時間ほどは、あたりにやさしい香りを漂わせます。鼻を近づけすぎると、きつすぎて、ちょっと顔を背けたくなります。 自生地では、小型のコウモリが蜜を吸いに来ます。 ホバリングをしながらやや下を向き、舌を伸ばして顔を花粉まみれにしながら花の蜜と花粉を舐めるようです。 このコウモリの習性に多分関係があるのでしょう。オシベが二重になっていることが分かりました。 2007年8月、我が家でのこと、きれいな花を見終わったあと、解体を試みました(3枚目の写真をクリックしてみてください)。 花びら状の白い部分は33枚ありました。 外側へ行くほど赤く細い花弁状のものが見えますが、 一説によれば、白い部分を含めて苞ばかりで出来てる花だそうです。 まずびっくりするのは、メシベの長さです。付け根部分から20センチ以上はあります。その付け根部分には、べっとりと蜜のようなものが溜まっていました。 私たちの身の回りの植物に、こんなに長いメシベを持つ花は、何か思いつくでしょうか? 温室内では、サンギャラリーに鉢植えで展示された 「ロスマニア・ロンギフロラ」や中南米室の 「マルニエラ・クリソカルディウム」(ゴールデンハート)が,やはり長いメシベを持っています。 そして、沢山のおしべ。 花の中央辺り内側に、腰蓑みたいに一列のオシベがありました。そして更に、花の基部のふくらみがはじまる部分に、 長いオシベがついていて、先端部分では、同じ位置で、揃って上向きにカールしているのです。その数半端じゃありません。 外側75本、内側なんと183本です。暇ですねえ、数えましたよ。 この二重のオシベ、きっと相棒のコウモリの吸蜜のときに、花粉媒介を目論んで何か仕掛けるのでしょうね。 それにしても、夏の夜の、ほんの数時間の開花、美人薄命、そのものです。翌日は、首をだらんと下げています。 ちなみに最後の写真は、中南米室のものです。花の開く時間は、温室は閉じられているので、誰も見ることが出来ません。 あ、ちなみに、これは食べられるのですよ。サラダに入れたり、煮物にもね。 2007年夏、観察終了の花から、シベをはずし、彩りにアオジソを加え刻んで酢の物にしてみました。 自然にとろみがついて、でもシャキシャキして癖もなく、美味しくいただけましたよ。 チャンスがあったら、是非お試しください。 |