↓花のアップ2枚は、上部から撮ることができた、職員のkさんに、お借りしたものです。 |
2017年5月、新しい、ベンケイチュウが、仲間入りしました。後日、公募で「サボチュウ」という愛称がつけられています。 これは、長野で育てられていたもので、結構巨大。スポンジで包んで運んできて、小さな入口から、係の方たちが苦労して 取り込み、スポンジで保護された輪っかで、後ろの支柱に取り付け、安全を保っています。 根は、まだそれほど伸びてはいない、と、聞いています。でも、花は、たくさん。雄しべの数もすごいですね。 え、サボテンが長野から・・・・・?と思いませんか?。長野は気温が低いはずですよね。 サボテンって暑いところに育つものじゃない? ですよね。でも、理由を聞いて納得です。 ベンケイチュウの自生している場所は、確かにアメリカのメキシコやアリゾナ州などの熱帯です。でも、熱帯でも、山岳地帯があります。山の上は、気温は低く、そこに育つ ベンケイチュウは暑さに弱いとも言えます。 とすれば、園芸業者であれば、長野で育てること可能な訳ですね。 トラブルなく、すくすく伸びていってほしいですね。 |
さて、この下は、30年ぐらい前の、サガロ室の光景です。 |
ハシラサボテンの中でも最も巨大なもので、毎年5月に白い花をつけます。 この巨大サボテンは、昭和62年、東山植物園の開園50周年を記念して、アメリカのアリゾナ州から寄贈されたものです。 属名のカルネギアは、アメリカの大富豪、カーネギー(A.Carnegie)からきています。 花は夜にかけて咲き、コウモリや大型の鳥による受粉に適応しています。 赤い実の写真は、職員の手による人工授粉の後に出来た果実です。果実は卵形で、完熟するとちょうどツバキの実のように皮が割れてしまいます。 果実は甘いので食用にされますが、なんとその中の種は2000個前後。 でも、種子がこぼれても、雨の少ない土地ですから、発芽のチャンスは少ないのでしょう。 さて、こんな巨大な植物の種は、やっぱり大きい? いいえ。下の写真のようにケシ粒ほどの 小さなものです。こんな小さな一粒が、運がよければ、巨大サボテンにまで成長するのですね。 2004年の8月、採取した種子を園が来園客に分けたので、私も、その一部を蒔いてみました。 これは発芽して約2週間めの姿で、4ミリ位のものです。これでも双葉なのです。 一年後の姿は、ちっちゃいながらも、トゲはちゃんとあって、小指の先ほどの大きさになっています。 |
後記:3年後も、右の写真とまったく変化ありません。 この時点で、まだ、枯れてはいないのですが、その後、いつの間にか消えてしまいました。 |
★さて、ここからは、以前の最後に残ったベンケイチュウの思い出話です。 |
後年、残ったベンケイチュウには、長い物差しが取り付けられて、2007年の高さは、6メートル90センチですね。 その隣りの写真は、サボテンの骨、ベンケイチュウが枯れた後の姿です。 (これは、アリゾナからの移送中に枯れてしまったものです) 生きているときは、水や養分の通り道である維管束(いかんそく)という部分が乾燥して残り、それはは鉄のように硬いので原産地では建材に使われたりしています。また、この維管束の硬さ、細くても束になると強靭な力を持つことから、 現代の鉄筋の大元になったとされ、橋脚などの構造に取り入れられています。 |
2010年の秋、トップ画像にある4本のうちの右前の一本が枯れ、2012年7月には、左手前の一本が調子悪くなりました。 伐り戻し作業の為、解体されたベンケイチュウは、風に当てて乾かすため、輪切りで公開されました。輪切りの中は、硬めのウレタンといった感じで、弾力が残っていました。 最後の写真は、2010年に枯れたもので、外側の果肉はすでになく、維管束だけで中が空洞になっています。アリゾナ州からの移送中に枯れたものと、同じ状態ですね。 細いものでも束になることで、耐荷重が大きくなる。納得できる作りですね。 |