「アモルフォファルス・パエオニイフォリウス」
-Amorphophallus paeoniifolius-


サトイモ科・アモルフォファルス属

  

  

  

熱帯アジア原産
    エレファント ヤム(象の芋)とも言われています。

2006年0月末、日々姿かたちを変えながら大きくなってくるこの植物に、いつ開花宣言になるのか、興味を持って見守っていましたが、 私が最後にチェックした直後(24日の3時過ぎ)に開花したようで、残念ながら、その場に立ち会う幸運(?)には恵まれませんでした。
幸運?マークは、匂い(というより臭い)です。

コンニャクの仲間は、開花と共に、悪臭がするということで有名です。
日本でも食用にしているコンニャク-Amorphophallus rivieri Durieu var. konjac-(↓の写真)、開花するまでに3−4年はかかるといわれています。その生産者達は、花を咲かせることをしません。 花を咲かせると、そこでコンニャクイモといわれる地中の塊茎が成長をストップさせてしまうのと、悪臭を通り越した腐臭を漂わせるからです。 ちなみに、スマトラのショクダイコンニャクなど巨大なものは、その腐臭は、8キロ先までも届くようです。 森林の中で、離れて点在するコンニャクの仲間同士で、ポリネーター(花粉を媒介してくれる虫や鳥)にシグナルを 送るための強烈な匂いです。

そうしたコンニャク類の一種、このパエオニイフォリウスですが、これは、あまり長い時間の悪臭ではなかったようです。 開花した、という情報を得て、26日駆けつけたのでしたが、もうすでに匂いは終わっていました。
1枚目の写真は、開花1週間前、2は、24日の日中で、まだ開花のメッセージを出していません。
赤紫の丸く襟のように広がっているのは、花を保護している苞(ほう)という部分で、下からあがってきている葉っぱの変形したものです。ちなみに、 葉が重なり合って木のように立ち上がるのを「偽茎」といいます。
その中から、巨大なキノコ(私は、テレビのCMの中の、ドコモダケにそっくりと思ったのですが)の頭のようなものが見えています。
キノコの頭にあたる部分は、サトイモ科の特徴である 「肉穂花序(にくすいかじょ)」の付属体といわれていて、見た感じ、空気の抜けかけた 風船のようです。
付属体の下、黄色い部分が、雄花群、奥のほうに見えている、先端にコメツブぐらいの白いものがついているのが雌花群です。開花から1日も経つと、雄花からの花粉が落ち始めます。
この雌花群が、開花の一時期だけ、発熱し悪臭を放って、虫を誘うのです。
悪臭の後は、3のように少しずつ縮んで行き、自然界では、その後、サトイモ科特有の赤い粒々(山歩きをなさる方は、 テンナンショウの赤い実を思い出してください)の果実が、 トウモロコシのようにつくのですが、さて、この鉢植えの行く末は・・・?
3週間後には、くたびれたーという感じで、寝そべっていました。

以前、同じサトイモ科の「クワズイモ」が、東花卉室で、こんな「赤い実」をつけていました。
また、中国雲南省原産の「コンニャク」も過去に展示されたことがあります。

花が終わって、ひと月もすると、立派な葉っぱの茎が立ち上がってきます。    

    これは、園内の也有園のそばの、野菜畑のコンニャクです。
高さ00センチぐらい。 上記と同じ日にこの写真を撮ったのですが、ほとんど臭いは残っていませんでした。

(名古屋市立東山植物園・水生植物室)

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