「オスモキシロン・リネアレ」
-Osmoxylon lineare-


ウコギ科・オスモキシロン属

マレーシア原産

   自生地では5メートルにもなる木だそうですが、温室内では、1メートルぐらいに仕立てられ、下から次々枝を出してきて、大株になってます。
以前は、剪定のせいか未熟だったのか、たまにしか花をつけていませんでしたが、株が充実してきたのでしょうか、2005年ぐらいからは、 少しずつ花のつきがよくなり、どこかに開花枝が見られるようになってきました。

葉が黄色っぽい斑入り品種 「Osmoxylon lineare cv.Variegatum」 も、北東側の植え込みにあります。
開花と書きましたが、実際には、花の時期は極端に短く、この奇妙な黒い球ばかりが目立つ植物です。


さて、白い花の下に見えているこの黒い球はいったいなにでしょうか。
最初にこの黒い球に遭遇してから、これは何?いろいろ調べてみましたが、なかなか資料が見つかりません。
そこで、腰をすえて、観察してみる事にしました。


   左の写真は、花芽が出来てきたばかりです。細かい花芽がかたまって、全体で直径5ミリほどです。
次は、デジカメでのかなりの拡大画像ですが、ツボミの集合体の直径が2センチ程度で、まだ茶色い皮が残っています。
小さな粒々、これが1個の花になりますから、集合体が幾つかあることになります。
右は、中の白い球がはっきりしてきました。これでも全体で2センチ程度です。これは、雌花のもと(?)です。

白い粒々がはっきりしてきたところで、拡大写真を試みました。
シンガポール在住のTOMさんのブログで、小さな小さな花が紹介されていて、ルーペの世界ということだったからです。

    覗き込んでも見つからない花、デジカメで舐めるように撮り、その中に、やっと上のような花を見つけました。
メシベだけからなる花は、白い球(多分子房)が2ミリほどですから、花というより、ほとんど小さな突起、といった感じです。
そして、この写真を見ると、雌花のつく白い球の脇に、別の小さな白い粒々が出来ていることがわかります。

   この時期を、横から見ると上のようになっています。
最初に出た雌花の両脇から、粒々のついた新しい茎が出来ています。これは雄花のもとです。
すこし時をおいた右側は、粒々の位置が上下逆転していますね。下になった雌花の子房はこの後、黒熟していくことになります。
温室内ですから、ポリネーター不在で、黒熟しても、中に種子はみられませんが、自生地、 自然界では、この中に種子が出来ているはず、と考えます。

    ↑雄花が上に出てきた様子を上から見るとこんな感じです。全体で5センチぐらいにはなっています。右側は、少し引いた写真です。 下になった球が赤紫色に色づいてきていますね。
このあたりまでは、花が地味、わさわさした葉っぱの陰で小さな粒々は目立たないこともあって、見過ごしてしまい、たいていは、 下のように球が黒くなってきて初めて、おや、これはなんだろう?になるのです。

    時の経過とともに、最初の球はすっかり黒くなり、次の雄花は開花準備OKです.そして右は、雄花の開花です。

    雄花が咲き終わると、一応、また粒々になるかのような形態をとるのですが、温室内ではここまでで、右のように崩れ落ちておわりになります。
長い間、黒い球の謎を、不思議に思っていましたが、今では、はっきりと言えます。

「これは果実です」

細く深く5裂した葉が、和風にも見えるところから、コンパクトに仕立てて、観葉植物として、園芸通販店に出ています。
私も、観察のため、一鉢、買い求めましたが・・・なかなか花を咲かせてはくれません。まだ若すぎるのでしょうね。

文中でもちょっと触れましたが、この「オスモキシロン」、細かく観察された方がいらっしゃいました。
ブログで丁寧に説明されているので、リンクをお願いしました。参考になりますよー!
「シンガポール熱帯植物だより」

(名古屋市立東山植物園・ハワイアン室)

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