どこまでも続く白い砂浜、透き通った青空を背景に大きな葉を広げ、その基部に丸い果実を沢山つけるヤシ、
その姿は、日本人に、一番知られているヤシではないでしょうか。 ココス属は、ココヤシ1種だけです。 ココスとは、ポルトガル語の猿(Coco)からきていて、果実に見られる3つの発芽孔(はつがこう)が猿の目・口・鼻に見えるからです。 この部分には、将来、ココヤシとなる幼植物体のための成長養分の胚乳(はいにゅう)があるとされています。 この3つ珠孔は、皮が薄くなっていて、そこから発芽しやすくなっているのですが、3つとも発芽することはありません。 そのうちの1つだけから、写真のように葉を伸ばし始めます。 熱帯では、重要な有用植物で、果実も幹も葉も、余すところなく、人間の生活に利用しています。 高さは10〜20メートルになる大型のヤシです。成木では、1年間に100個前後の実が収穫できるのだそうです。 果実の中の水は飲用、果実から取り出した殻の内側にある胚乳(はいにゅう=種子の中で幼植物体を育てるための養分)を乾燥させたものは、 コプラと呼んで、ヤシ油を絞ったり、食用油やマーガリン、石鹸の原料にします。また、果実の繊維を使って、ロープやマットにも使います。 その他にも、ヤシ殻活性炭など、私たちの身近に加工品は沢山存在しています。 さて、下の画像は、何でしょう?
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ここからは、余談になりますが、「ヤシの木」という表現をしますね。 ヤシは木なのでしょうか? あんなに大きいんだから、木に決まってるでしょ! ですか? ところがところが、調べてみると、どうやら、木ではなく草の部類に入るという説もあるのです。 輪切りにしたとき、樹木に見られる年輪などが見つからないからです。 これ↑は、中央ヤシ室の「リュウキュウダイオウヤシ」を剪定したときの写真です。確かに年輪などは見られません。 中は、繊維ばかりです。切り口を少し削ってもらって、食べてみました。ほんのりうす甘く、サトウキビの食感でした。 しかし、このような状態だから、草の仲間、と断定も出来ないようです。 ヤシの他にタケ・木性シダなどは、形成層、年輪が見られないものの、草(正しくは草本と言うのですが)には含めない、という学説もあって、 まだ、決着はついていないようです。 |