「キソウテンガイ(奇想天外)」
(ウェルウィッチア・ミラビリス)
ーWelwitschia mirabilisー


ウェルウィッチア科・ウェルウィッチア属

ナミビアからアンゴラにまたがるナミブ砂漠の固有種。
  2022年5月、花芽らしきものを見つけました。更に6月には、花序は30センチ近くまで伸びていました。
左右の2枚の葉っぱが、これから何処まで伸びていくのか・・・楽しみですね。

    数年前、籠の鳥のように展示されたのは、上記ナミブ砂漠でしか見られない1科1属1種の特異な植物「キソウテンガイ」です。
砂漠に生きる植物を、それ以外の場所で育てるのは難しく、東山でも、これで多分3度目の挑戦ではないかと思っていました。

しかし、その後、この部屋を含め、温室前館が、復元工事の為閉鎖されてしまい、2021年のリニューアルオープンまで、見ることは出来ませんでした。再開した多肉室には、これが、数株植えられていました。
檻の中の展示物と、同一かどうかは不明です。
白いカバーを掛けてあるのは、結構大きな個体。根が活着するまでの、保護のようです。





    それにしても、なぜ、奇想天外などという面白い名前がついたのでしょうか。
砂漠の中に点在する巨大なウェルウィッチアの資料写真を見ると、たくさんの葉がぐしゃぐしゃに丸まったような珍奇な姿をしています。 しかし、実際は、2枚の葉が伸びているだけなのです。この植物の成長点は葉の基部にあるので、伸びると共に、砂漠の厳しい砂嵐などにより、 先端から平行脈に沿って裂け始め、あたかも複数の葉が集まっているかのように見えるのです。
この写真の中央を注目していただくと、長い葉と十字対生に小さな葉がありますね。これは、最初に出てきた双葉の名残です。 横に長い葉が、年月をかけてひたすら伸び続けていきます。その風変わりな形から、奇想天外という名前になりました。
現地では、樹齢(一見、草のようですが、中心には、木質化した短い茎があるのです)数百年以上はざらで、1千年を超えるというものも存在しますが、 現在、絶滅危惧種として国際的に厳重保護されています。 ということで、今は、どこの展示場も実生から育てています。
貴重な植物ということで、3枚目の写真のように、一時期、手が入らないような檻の中にとじこめられていた事もありました。

雨の少ない砂漠で生き延びる植物は、葉や茎に水分を溜め込むことが出来る多肉植物になったりしますが、このキソウテンガイは、 地下に水を求めて根が10メートル以上伸びるのだそうです。だから、栽培には水管理が難しそうです。

以前、京都の植物園で見たキソウテンガイの写真もご紹介します。雌雄異株、これは、雄花の咲く雄株の表示がありました。
 

 
 もっと詳しく知りたい方、「こちら」をどうぞ。


(名古屋市立東山植物園・多肉植物室)

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