「ボーモンティア・グランディフロラ」
ーBeaumontia grandifloraー


キョウチクトウ科・ボーモンティア属

インド原産
英名は、Easter-lily vine です。
大型つる性植物で、花は女性の手首から先ぐらいの大きさです。
白いトランペット型の花は、日中は、うっすらメロン系の香りですが、夕方になるにしたがって、濃厚な香りに変わります。
そして、メシベからは蜜がいっぱい。花弁の内側は、どこも蜜でべとべとしているのでした。
オシベとメシベがまとまった形がとてもユニーク。でも、このシベたちの付け根がぼんやりとしか写らないのが不思議でした。
落ちた花を開いてみると、メシベはしっかりオシベに守られています。こんな仕組みでは、他からの花粉が受け取れないのでは・・と心配になりますが、 自然界では、違った受粉方法があるのかもしれません。
更に開くと、メシベは花茎から繋がっているのに、オシベは、筒状花の花弁の内側から矢印↑の形で出ていることが分かりました。だから、覗いた写真では、奥の方が、ぼんやりとしか写らないのでした。

後記
オシベ群にしっかり守られたメシベ、もしかしたら自家受粉? そうでないなら、受粉はどうやって?
この花の仕組みが気になって、調べてみました。

植物関係の掲示板に、神戸大学の小菅桂子先生が回答していらっしゃる記事がありました。

ボーモンティアの仕組みではないのですが、同じキョウチクトウ科、つまり、夏に盛大に咲くキョウチクトウも、 花の作りは同じであるということなのです。
ボーモンティアの花期は、短期でしたが、キョウチクトウなら我が家にもあります。
早速、ルーペで覗いてみました。

花弁を剥がしてみると、中には、ボーモンティアと同じ矢印型オシベがあり、その先に、付属体という絡まった糸の束のおまけがついています。
更にオシベの部分をピンセットで開いてみると、頭が緑色のメシベが、オシベの葯に守られているのが見えます。
さて、ポリネータ―から花粉を受け取る柱頭はどこに・・・?

先生は、メシベを京都タワーに例えていらっしゃるのですが、一般的な植物のメシベの柱頭は、メシベの先端にあります。 ところが、キョウチクトウは、先端をオシベの葯で押さえつけられているので、でっぱりの下、白い筒型の部分が、柱頭の役目を担っているようです。
写真を見ると、メシベの先端は、蜜でべとべとしています。それは、その下の柱頭にも滴っています。というか、キョウチクトウの花は、どちらかというと垂れ下がって咲いていますから、 頭の緑と、子房の間のひらひらした部分が逆に蜜のお皿の役目をしているのかもしれません。

口吻の長い蜂,蝶や蛾によって受粉が行われるようです。オシベの笠をかぶっていても、口吻が長ければ、横から差し込むことが出来るので、子房がこの位置にあっても受粉可能というわけです。

なるほど、口吻の長い虫であれば、「ボーモンティア」のがんじがらめのメシベでも大丈夫な訳です。
キョウチクトウのメシベの長さは1センチぐらいしかありません。
ルーペでは見えるものの、写真に記録するにはどうしたらいいのでしょう。 小さなデジカメには、難問です。
被写体の上に、20倍のルーペを置きました。口径は8ミリほどしかありません。 デジカメのレンズをくっつけて、ようやく京都タワーもどきが撮れました。

先生の記述は、次のところから読むことが出来ますので、詳細はこちらをご覧ください。
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2468%EF%BC%9E%E3%81%AB
直接リンクは出来ませんので、このアドレスをコピーして、検索してくださいね。
     
ここからは、「キョウチクトウ (夾竹桃)」-Nerium oleander var.indicum-の観察写真です。   
     

  
自然のしくみは、本当に不思議がいっぱいです。
あなたもルーペを持って観察してみませんか?


(名古屋市立東山植物園・サンギャラリー)

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